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今回は「骨盤矯正」について考えてみます。
そもそも骨盤を矯正するとはどういうことなのでしょうか。
矯正と言うからには曲がったものを元に戻すといった意味で使っているのだと思います。
1、骨盤とは?
仙骨、左右の寛骨(腸骨、恥骨、坐骨)、尾骨で構成されたものを言います。
2、骨盤が歪むとは?本当に骨盤は歪んでいるのか?
骨盤には左右の仙腸関節と恥骨結合があります。
それらがズレて固まっているのを歪みと言っているのだと思います。
ホントにそんなことあるのでしょうか。
一応あるにはあります。
出産後の女性の恥骨結合がズレているのは見たことがあります。
歪みと言えば歪みです。
では他の人はどうなのかというと僕は知りません。
ホントに歪んでいるのでしょうか?
仮に歪んでいるとしてもそれを評価できるのでしょうか。
よくあるのが腸骨稜(腸骨の上縁部。骨盤の一番上とされている場所)に手を置いて高さを評価するというのがありますが、その高さがどのようにして左右差が生じているのかと考えるのが必要です。
仮に右の腸骨稜が高くなっているとします。
体重を右脚に多くかけると右の腸骨稜が高くなることはあります。
この場合、骨盤の形状はそのままです。
体重のかかり方を均等にすれば下がります。
そうではなくて仙腸関節に対して寛骨が上にズレているのを戻しましょうだと、そんなことはあるの?と思うのです。
3、骨盤は動かせるのか?そもそも左右対称なのか?
「ズレることなんてあるの?」だし、「ズレてるとしてそれを戻せるの?」と思うのです。
仮に出来たとしても「どれくらいの力を加えたら戻せるの?」だし、手の力で戻せるものであるなら走ったり柔道などで投げられたりしたらそれはそれは大変なことになる気がします。
というわけで、「そもそも動くの?歪むの?矯正できるの?矯正できたとしても矯正した位置を保てるの?」と言う話なんです。
骨盤の歪みを評価するにしてもそもそも左右で大きさが対称とは限らないのです。
顔だって左右で対称ではないように、大きくて高くなっているものをズレと評価して揃えるような操作をしても、それはそれで何をしているの?という話なわけです。
そもそも評価できないのではと思います。
筋肉や脂肪を介してだし。
4、骨盤の歪みを評価する必要はない
それなら骨盤に対しては何にも介入しなくていいの?ではなくて、歪みを評価しなくていいんじゃないの?と考えています。
骨盤部の評価はします。
何をするかというと、骨盤には前傾、後傾、左右の傾き、水平面での回旋等があります。
股関節なら安静時の肢位や可動域等をみます。
もちろん可動域に差があっても形状は変わりません。
形状は変わりませんが、腰が反っている、回旋が入っているといったものには介入した方がいいんじゃないの?と思います。
それらは上位、下位にある関節にも負担をかけます。
介入すべきは筋に対してです。
膝が痛い人を例に話をします。
膝関節をまたぐ筋肉には骨盤から起始するものが多くあります。
(縫工筋、大腿筋膜張筋、大腿直筋、ハムストリング、薄筋です。)
膝だけをモミモミしたり物理療法等で治った気になったとしても、立ったらおかしな立ち方をしていました、おかしな立ち方だからおかしな歩き方をしていました、だとどこかに負担がかかっていそうなのは容易に想像できます。
膝蓋骨(膝のお皿の骨)の評価だと、膝蓋骨が外側広筋(膝関節の伸展を行う筋)に引っ張られて膝を伸ばす力が落ちていることがあります。
その理由が外側広筋とつながっている大殿筋なんてこともあるわけです。
というわけで、骨盤部の筋への介入はした方がいいです。
このように骨盤にも介入した方がいいこともあります。
介入の仕方は考える必要があります。
5、骨盤矯正という医学用語はない
当院は、骨盤は矯正できるものではないと考えています。
「骨盤矯正」という医学用語はなく、腰痛などの身体の痛みや不調の原因が骨盤の歪みにあるという科学的根拠も今のところありません。
以上のことから当院では「骨盤矯正」といったことはしておりません。(というかできません。)
科学根拠のある方法を提供していきたいと思っています。