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野球少年の肩関節の痛み

  • 2019年05月23日

狭義の肩関節は肩甲骨と上腕骨で構成される関節のことをいいます。

広義の肩関節肩甲上腕関節、肩鎖関節、胸鎖関節、第二肩関節、肩甲胸郭関節のことをいいます。

今回は肩甲上腕関節の話です。みんなが思い浮かべる肩関節です。

こんなとこがずれるとかあるの?という感じですが、ほんのわずかな位置異常が投球のパフォーマンスを落とすので注意が必要です。

 

肩後方関節包が硬くなる骨頭の異常運動が起こります。野球をやっている人に多くみられます。

肩後方関節包が硬くなると、骨頭は肩外旋時に後上方にずれ、内旋時には前方にずれます。

特に肩外旋時の後上方へのずれは、レイトコッキング期に肩峰下でのインピンジメントを引き起こします。

これは、正常な肩外旋運動に必要な大結節が肩峰下をくぐる動きが、骨頭の位置がずれているためにスムーズにいかなくなるのです。

このときスムーズにくぐらないというだけでもすでにパフォーマンスを落としています。

肩外旋制限は、投球時の肘の内側への負担も増大させるため注意が必要です。

 

肩後方関節包が硬くなる要因は、フォロースルー時にIGHL(下関節上腕靭帯)後部線維に強い遠心性の力が加わり微細損傷をおこすためと考えられています。

三角筋後部線維、小円筋はフォロースルー時に遠心性に強く働き、腕が内旋して吹っ飛んで行くのにブレーキをかける働きをしています。

また、非投球側の股関節の内旋可動域に制限があるとフォロースルー時に肩関節の水平屈曲が強くなり、さらに肩関節後方への負担が大きくなってしまいます。

負担がかかり続けた組織はやがて硬くなり、骨頭の位置異常を引きおこします。

 

もう一つの骨頭の異常運動として、骨頭の前方へのずれがあります。これは肩の前方が緩いと起こります。肩外転外旋時には骨頭が前方にずれないようにIGHL前部線維がその役割をするのですが、骨頭が前方にずれたまま投げていると、外転・外旋でIGHLが強く伸ばされて、緩くなったままもとに戻らなくなります。

他には肩甲下筋が働いています。

肩前方の緩さが増大している選手の投球時には、アクセレレーション期での肩甲下筋の活動が低下しているといわれています。このような肩前方の緩さと肩甲下筋の機能低下は、骨頭の前方へのずれを大きくし、MER(肩最大外旋)時にインターナルインピンジメントを引き起こす可能性があります。

肩前方の緩さの要因には、投球時のhyper Angulation(肩水平外転の増大)があります。Hyper Angulationは肩全面の伸張ストレスが大きくなります。Hyper Angulationの原因として肩甲骨の上方回旋、内転可動域の不足等があります。上方回旋が少ないということは肘下がりにつながり、肘への負担を増やすことにもなってしまいます。

というわけで、肩関節(肩甲上腕関節)そのものへのアプローチも大切だし、肩甲骨(肩甲胸郭関節)へのアプローチも大切ということがいえます。



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